外見に見える瘢痕も重要ですが、皮膚の下側の瘢痕も最小化する必要があります。
瘢痕を減らすには張力を減らさなければなりません。
額短縮後に瘢痕線が広がる最大の理由は、切開部位にかかる張力が大きいためです。つまり、頭皮が再び後方へ戻ろうとする力が大きいほど瘢痕が広がる可能性が高くなります。張力を減らすためには「診断から縫合まで」注意すべきことが多くあります。
診断
頭皮の特性をまず正確に把握する必要があります。頭皮の弾力を正しく評価できなければ期待した結果になりません。予想したほど額を縮められないこともありますし、無理に引っ張れば瘢痕が広がったり前頭部の毛が抜ける同伴脱落が生じることがあります。頭皮の特性を正確に把握できる経験が成功する額短縮の最初の一歩です。
デザイン
最終的なヘアラインを考えながらデザインしなければなりません。額短縮術後に毛髪移植が必要か、どのくらいサイドの短い毛を残すか、既存毛の間の瘢痕をどう隠すか、毛髪の方向や太さも考慮して切開線をデザインします。
切開
瘢痕は残ります。いかに上手く隠すかが重要です。適切に手術が行われれば瘢痕は細い線として残り目立ちにくいですが、既存の毛や産毛を利用するとより隠しやすくなります。既存毛と産毛を考慮した切開線の位置決めが重要です。
筋膜切開
筋膜切開術は額短縮の要です。筋膜切開術とは硬い筋膜に一定間隔で切開を入れて頭皮を十分に伸ばすための過程です。筋膜切開のない単純な額短縮よりも額の高さをずっと下げることができます。しかし筋膜切開術は適切に行うのが難しいのです。筋膜のすぐ上には毛包や血管が多いためです。
十分な深さで筋膜切開ができて初めて望むだけ額を下げられます。
固定
固定装置の選択にも理由と限界があります。引っ張られた頭皮が再び戻らないように骨にしっかり固定しなければなりません。エンドタインという装置を使うこともできますし、糸で固定することもあります。エンドタインは頭皮を最大限に引き上げて掛けてくれること、固定力が優れていると考えてエンドタイン方式を採用しています。
ミニエンドタインを使用すれば外から触れてわかることもほとんどありません。
縫合
皮膚縫合は単に補助するだけで、切開した頭皮の層をすべてつなぎ合わせます。皮下縫合が終わると、まだ皮膚縫合をしていなくても切開線の皮膚面が既にしっかりと付いています。皮膚にかかる張力を減らすことが目的です。あとは皮膚の縁を滑らかに合わせるだけです。
外側と内側の瘢痕の両方を減らす必要があります。
このように皮膚にかかる張力を取り除くと、ほとんどの瘢痕は細い直線として残ります。外から見える瘢痕も重要ですが皮膚の下側の瘢痕も最小化する必要があります。そうすれば次の毛髪移植がしやすくなります。瘢痕の大きさや量は毛髪移植の生着率に影響を与えるためです。
出血、感染、瘢痕の拡大、感覚低下、非対称、毛髪の同伴脱落、期待より少ない縮小または再上昇等が生じる可能性があります。手術の可否と縮小範囲は診察後に判断します。
