院長先生の診療ノート

ヘアラインは線ではない

ヘアラインを描くときは線から始めますが、自然さはその線を目立たせないところから生まれます。太さと密度、角度と方向を選ぶ何千回もの小さな選択についての話です。

ヘアラインは線ではない

線を上手に引くことより、その線を見えなくすること。

ヘアラインは線ではない

「ヘアラインは線ではない。」私が尊敬する院長が仰った言葉です。初めて聞いたときにも良い言葉だと思いましたが、毛髪移植を長く行うほどこの言葉が本当に正しいと感じます。ヘアラインをデザインするとき、まず私たちは線を引きます。しかし手術が終わった後に額に残るのは、私たちが引いたその線そのものではありません。

不規則の美学

自然なヘアラインを近くで見ると、皮膚と髪の境界がまるで刀で切ったようにきっぱりと分かれているわけではありません。前方には細く柔らかい髪がまばらに生え、後方へ行くほど髪は少し太くなり密度も高くなります。ある場所では一、二本が前方へ出ていて、別の場所では少し引っ込んでいます。その小さな不規則さが集まり、私たちが自然だと感じるヘアラインを形作ります。

名前はヘアラインですが、それは線ではないという逆説です。

何千回もの選択

ヘアラインのデザインは手術前に描いた線で終わるものではありません。一つ一つの毛を植えるたびに小さな選択が再び始まります。この毛をもう少し前に植えるか、少し後ろに下げるか。隣の毛よりやや伏せるか、方向を少し変えるか。ここでは細い毛を使うか、やや太い毛を使うか。密度を一つ増やすか、むしろ空間を残すほうが自然か。

そのような選択が何千回も繰り返されます。そしてその小さな選択が集まって一つのヘアラインになります。

良いヘアラインは線が見えません

ヘアライン手術では、おそらく誰も手術をしたと気づかないことが最良の結果かもしれません。どこから植えた髪なのか見つけにくく、元々その人の髪であったかのように見えること。線を上手く描くことよりも、その線を見えなくすること。私はそれがヘアライン毛髪移植において最も難しいことだと考えています。

もちろん限界はあります。しかしそのような考えをもって最善を尽くすのです。手術を多くこなし、経過を多く見るほど、その短い言葉がより大きく感じられます。ヘアラインは線ではありません。

毛髪移植に伴う出血、感染、瘢痕、毛包炎、一時的な同伴脱落等が発生することがあります。元の毛の太さや方向、後頭部の資源により密度や自然さに限界がある場合があります。

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